俺様黒王子とニセ恋!?契約
橋本さんとの電話を終えて倉庫に駆け戻ると、金子さんは幾つかの段ボールを開封した状態で、モバイルパソコンに向かい合っていた。
私の足音に反応して、モニターを睨んだまま、連絡ついたか?と確認してくる。


「はい。製造依頼した工場に、過剰在庫がないか確認してもらってます」

「片桐は?」

「それが……今日は別件で部長帯同で地方営業に出ていて、帰社時刻は未定だと……。状況によっては泊りになるかもしれないそうです。もちろん、連絡はお願いしてあります」


少しだけ肩を落として返事をすると、金子さんも眉間の皺を深めた。
そして、俯いて小さく首を横に振る。


「それもそうだな。仕方ない。元々ヘッドハンティングされて来たような男だ。大プロジェクトの中枢メンバーとは言え、抱えてる仕事はこれだけじゃない。他にも並行する仕事があるのが当然だ」

「……はい」


そしてそれは金子さんも同じだ。
そんな忙しい二人を私のミスで最悪の局面で巻き込んでしまった。
自分が情けなくて、申し訳なくて堪らない。


「……本当に、申し訳ありません……」

「謝るのは後だ。……とは言え、タイミングとしては最悪だな。片桐がいれば、俺が思いつかない案もあっただろうけど……。とりあえず、俺に出来るのは、レイアウトと装飾デザインの再考だけだ。見てくれるか」
< 134 / 182 >

この作品をシェア

pagetop