俺様黒王子とニセ恋!?契約
みんな、コソコソと『どの人?』『あ、あれじゃない!?』なんて人探しをしてるのが見え見えだったから、きっと真打ちの噂を聞きつけて一目見ようと集まったのだろう。
部活風景は全然見えないけれど、矢が的を射るパンッという乾いた小気味いい音が耳に届く。
きっとギャラリーのお目当ての真打ちは道場にはまだ現れていないんだろうな、と思ったけれど……。
弓道って、本来こんな騒々しい中でやる競技じゃないだろう。
先輩たち、やり辛いだろうな……と何故だか申し訳ない気分になった時、ギャラリーが一際どよめいた。
きゃああ~っと、アイドルに向けられるような黄色い歓声が沸き上がる。
その途端。
『静かにしろっ! 射手が集中出来ないだろうがっ』
黄色い歓声を蹴散らすように、低い凛とした声が一喝入れた。
あれだけ騒がしかったギャラリーが、波が引いていくように静まる。
『弓道部の見学に来たなら、呼吸音も自粛するくらいのつもりで気配消して佇んでろ。それが出来ないなら、邪魔なだけだ。さっさと神聖な道場から出て行け』
居丈高な言葉に、一瞬周りがどよめいた。
『こら、篤樹。見学者が多いのはいいことなんだから。そんな冷たいこと言うなって』
宥めているのは、部活紹介の時にマイクを通して聞いた声だとわかった。
『篤樹』と呼ばれた彼も、それ以上は何も言わなかった。
部活風景は全然見えないけれど、矢が的を射るパンッという乾いた小気味いい音が耳に届く。
きっとギャラリーのお目当ての真打ちは道場にはまだ現れていないんだろうな、と思ったけれど……。
弓道って、本来こんな騒々しい中でやる競技じゃないだろう。
先輩たち、やり辛いだろうな……と何故だか申し訳ない気分になった時、ギャラリーが一際どよめいた。
きゃああ~っと、アイドルに向けられるような黄色い歓声が沸き上がる。
その途端。
『静かにしろっ! 射手が集中出来ないだろうがっ』
黄色い歓声を蹴散らすように、低い凛とした声が一喝入れた。
あれだけ騒がしかったギャラリーが、波が引いていくように静まる。
『弓道部の見学に来たなら、呼吸音も自粛するくらいのつもりで気配消して佇んでろ。それが出来ないなら、邪魔なだけだ。さっさと神聖な道場から出て行け』
居丈高な言葉に、一瞬周りがどよめいた。
『こら、篤樹。見学者が多いのはいいことなんだから。そんな冷たいこと言うなって』
宥めているのは、部活紹介の時にマイクを通して聞いた声だとわかった。
『篤樹』と呼ばれた彼も、それ以上は何も言わなかった。