俺様黒王子とニセ恋!?契約
今までのどんな触れ合いよりも、篤樹の優しさを感じたからだ。
軽く額に触れただけのキスに、篤樹の心が込められていたような気がして、心が逸ってしまうからだ。


私の想いが篤樹に伝わって、篤樹がそれに応えてくれた、そんな期待に胸が高鳴ってしまう。
いつもいつもタイミングの合わなかった私たちの歩調が、少しずつ噛み合ってきた。
そんな気がして、私は自惚れてしまうのだ。


……ダメだ。胸が苦しい。


一人で舞い上がる自分をどうにかしたくて、私は胸を押さえながらリビングのソファに倒れ込むようにして横になった。


ここならベッドよりずっと鼓動が落ち着いてくれる。
そう、とにかく私は今ちゃんと身体を休めて、出来るだけ早くプロジェクトに合流しないと。


ソファにかかっていたふんわりと柔らかいカバーにくるまって、私は再びゆっくり目を閉じた。
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