俺様黒王子とニセ恋!?契約
ガチャッと鍵が開く音が聞こえて、私はぼんやりと目を開けた。
カーテンを開けたままの窓の外は、もうすっかり暗くなっていた。


もうそんなに時間が経ってしまったのか、と私はゆっくり身体を起こす。


あれからかなり熟睡してしまっていたようだ。
十分に睡眠をとったおかげで、午前中よりだいぶ身体が軽く楽だった。


廊下から足音が近付いて来る。
私が振り返るのと、リビングのドアが開くのはほぼ同時だった。


「あ」


薄暗いリビングに私を見つけた篤樹が、咎めるような声を上げる。
壁のスイッチで電気を点けると、眉間に皺を寄せて私の前に歩いて来た。


「お帰りなさい、篤樹」

「ただいま。……ってそうじゃなくて。お前なんでこんなとこで……」

「すごくよく眠れた。ありがとう、篤樹」


そう言ってニッコリ笑いかけると、篤樹は虚を突かれたように何度か瞬きをした。
そして小さく息をついて、テーブルの上にデパ地下の有名お総菜屋さんの紙袋を置いた。


「……何も食ってないんだろ？　夕食。一緒に食おう」

「うん」


私の返事を聞くと、篤樹はキッチンに向かった。
そして水を入れたケトルを火にかけている。


「篤樹、お茶なら私が……」


慌ててソファから立ち上がると、いい、と短い声で遮られた。
そして、立ち尽くしている私にチラッと上目遣いの視線を向ける。
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