俺様黒王子とニセ恋!?契約
深夜十二時を過ぎると、私と橋本さん、そして子会社側の女性二人のメンバーで、炊き出しを始めた。
子会社側の二人が豚汁作り。
私は橋本さんと並んでひたすらおにぎりを握り続ける。
橋本さんも今日は午後からの出社だったらしいけど、さすがにこの時間になって疲れているのか、さっきからずっと黙ったままだ。
大丈夫かな、とチラッと目を向けながら、彼女もちょっと前に体調を崩して篤樹に心配されていたことを思い出す。
「……あの、橋本さん」
そおっと小さな声で呼びかけると、彼女はハッと我に返ったように顔を上げた。
「あ、はいっ! ……すみません、ボーッとしてて」
そう言って取って付けたようにぎこちなく笑う橋本さんに、私は肩を竦めた。
「疲れてますよね? 私は今日この設営にしか参加してないから、体力は大丈夫です。橋本さん、休んでください」
そう言って笑いかけると、橋本さんは私をまっすぐ見つめて、キュッと唇を噛んだ。
「……ありがとう。でも、大丈夫です。疲れてるわけじゃないんです」
「でも……」
「そうじゃなくて……」
そう言い淀みながら、橋本さんはフッと目線を会場の中央に向けた。
そこには、金子さんと一緒に『カクテルツリー』を積み上げる作業を始めようとしている篤樹の姿があった。
子会社側の二人が豚汁作り。
私は橋本さんと並んでひたすらおにぎりを握り続ける。
橋本さんも今日は午後からの出社だったらしいけど、さすがにこの時間になって疲れているのか、さっきからずっと黙ったままだ。
大丈夫かな、とチラッと目を向けながら、彼女もちょっと前に体調を崩して篤樹に心配されていたことを思い出す。
「……あの、橋本さん」
そおっと小さな声で呼びかけると、彼女はハッと我に返ったように顔を上げた。
「あ、はいっ! ……すみません、ボーッとしてて」
そう言って取って付けたようにぎこちなく笑う橋本さんに、私は肩を竦めた。
「疲れてますよね? 私は今日この設営にしか参加してないから、体力は大丈夫です。橋本さん、休んでください」
そう言って笑いかけると、橋本さんは私をまっすぐ見つめて、キュッと唇を噛んだ。
「……ありがとう。でも、大丈夫です。疲れてるわけじゃないんです」
「でも……」
「そうじゃなくて……」
そう言い淀みながら、橋本さんはフッと目線を会場の中央に向けた。
そこには、金子さんと一緒に『カクテルツリー』を積み上げる作業を始めようとしている篤樹の姿があった。