俺様黒王子とニセ恋!?契約
初回生産数が予定の三倍になり、それでも注文が途絶えないと聞いた。
発売一週間で売上はこれまでの当社比二百パーセント増を達成して、文句なしのヒット商品となった。


社の利益に大きく貢献した。
その功績を讃えられ、私たちプロジェクトメンバーは、今年度の社長表彰が内定した。


入社して四年。
日々目立たない事務作業をこなすだけだった私には、夢にも考えたことのない勲章だった。


延び延びになってた『合同プロジェクト解散』の打ち上げが行われたのは、つい先週、一月も終わる頃だった。


子会社側でもイベントの成功は高く評価されたらしい。
一ヵ月ぶりに会うメンバーは、みんなそれぞれ自信に満ちた表情で、この短い期間でとても逞しくなったように思えた。


一緒に仕事をしたのはほんの短い期間だったけど、同じプロジェクトを成功させた大事な仲間だ。
みんなで大騒ぎしたその夜は、とてもとても楽しかった。


けれど……。
このプロジェクトの起案者とも言える篤樹は、その日姿を現すことはなかった。


子会社側のメンバーもとても残念そうにしていたけれど、同じ営業部所属の橋本さんでさえ、デスクで落ち着いて仕事をしている篤樹を、この一ヵ月間、目にしていないと言う。
同じ会社に勤務していても部署が違う私は、全く目にすることがないくらいだ。
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