俺様黒王子とニセ恋!?契約
中途入社でいきなりの社長表彰内定。
一気にトップ営業の座を確立させた篤樹は、社内でもすっかり有名人なのだ。


あれからずっと、ほとんど分刻みで仕事に追われ、この一ヵ月、日本全国を飛び回っているのは、私も知っていた。


『次はぜひプライベートでも』


と、篤樹も含めたみんなで会う約束をして、打ち上げを終えた。
本当にこれでこのプロジェクトも終わるんだな、と実感したら、帰りの電車の中で一人、寂しさで胸が潰れそうになった。


だけど、立ち止まってはいられない。
明日も明後日も、私にはこなすべく次の仕事があるんだから。


まっすぐ前を向いて日々を過ごす。
ただそれだけのことなのに、そうやって過ごす日々は、とてもキラキラと輝いていた。


そう感じることが出来る今、私は思う。


私の日常をこんなにも輝かせてくれたのは、私の高校生活を鮮やかに彩ってくれた人。
あの頃も今も……私にとって何より大事で恋い焦がれてしまう人。


一度目は逃げて、二度目は届かなかった。
だけど、この想いは揺るがない。


私の毎日にこんな輝きをくれた篤樹への想いは、逢えない日々に焦れて募るばかりだ。


逢いたい。


――逢いたい……。
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