俺様黒王子とニセ恋!?契約
その後、大量の一年生女子が体験入部したらしい。
けれど、その八割方が一ヵ月経たずに辞めて行った。


その理由が、お目当の王子様がとにかく厳しいから。
結局、純粋に弓道に興味を持った新入生しか残らなかったということだ。


噂で聞いただけだけど、弓道に対する彼は王子様と言うよりも『鬼』だったそうだ。
けれど、それ以外の場……授業中や休み時間の彼は明るく爽やかな普通の高校生で、たまに廊下ですれ違う時には弾けるような笑顔で友人たちとふざけ合ったりもしていた。


運動センスのない私は、さすがに弓道部に入部するまでは出来なかったけれど、時折校舎の片隅で姿を目にするのだけを楽しみに、彼への想いを募らせていった。


夏のインターハイが終わって彼が弓道部を引退するのを待って、私はなけなしの勇気を奮い起こして、彼に告白をした。


『疲れた時には甘い物をバカ食いする』という情報を得て、何種類かのクッキーを作って、可愛くラッピングした。


引退してからも、毎週水曜日は部活に出て後輩指導と自主練を続けている。
そうして、部活が終わるより少し早いタイミングで帰宅する。
そのタイミングを狙えば、彼が一人になる時に捕まえることが出来る。
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