俺様黒王子とニセ恋!?契約
必死にそう告げて、篤樹の身体に腕を回した。
ギュッと抱きしめようとすると、篤樹は腕の力を抜く。
そうして、少しだけ間隔を開けて、私の額にコツンと自分の額をぶつけた。


お互いを、上目遣いに見つめる。


「篤樹……」


大好きな人の名を呼びながら、私は瞳を震わせて、必死に笑顔を浮かべて見せる。
ほとんど無意識に、篤樹の首に腕を回した。


「やっと、追いつけた……」


お互いに引かれ合うように、顔を寄せて唇を触れ合わせた。
誰もいない、静かで冷たい空気を纏いながら、一瞬小さく触れた後、まるで貪り合うように、求め合う。


身体を抱きしめる腕に力が籠って、全身で『離れない』と伝え合う。


こんな冷たい雪景色の中なのに。
熱いはずの私たちの方が、このまま、溶けてしまうんじゃないかと思った。
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