俺様黒王子とニセ恋!?契約
告白の答えなんてわかり切っていたから、返事を期待していなかった。
自己紹介も出来なかった上に、押し付けたクッキーの包みにもクラスは書かずに名前だけのカードを添えただけだ。


それでも……。


私の告白からわずか一ヵ月後。
彼が同じ三年生で校内一の美人と噂されていた先輩と付き合い始めたのを知った時は、ショックで一週間ご飯を食べられなくなった。


それでも、高校入学後の短い時間をウキウキと楽しく過ごせたのは、先輩を好きになったからだ。
実ることはなかったけれど、勇気を出して告白出来た。
それが私の誇りになる。


そうやって、彼への想いも失恋も、私の心の中では綺麗なまま、何年経っても色褪せない素敵な思い出として大事にしてきた。


なのに――。


大事なキラキラした思い出に泥を塗るような事態になるなんて。


本当に好きだったのに。
その彼から『セフレ』なんて言われたら、私はどうしたらいいんだろう……?
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