俺様黒王子とニセ恋!?契約
篤樹の上着を先週と同じようにカーテンレールにかけながら、え?と聞き返した。
「『彼に初めての手料理』の定番だよな。肉じゃがって」
「か……」
『彼』
その響きに、またしてもドキッとしてしまう。
そんな私を肩を揺らして笑いながら、篤樹は先週よりはるかに片付いた部屋を見渡した。
チラッと向けられるちょっと意地悪な視線。
『あんなこと言った割に、俺が来るってウキウキしてたんだろ』と言われた気がして、慌てて篤樹から鍋蓋を奪い返した。
「ち、違うもん。今日は私がそんな気分だっただけで」
「へえ?」
「って言うか、篤樹に食べさせる分なんかないしっ!」
「お前の一人分って、量多くね? 食い過ぎじゃねえの?」
腕組みしてニヤニヤと観察されて、私はただ口籠る。
どう考えても免疫不足の私が、この人を言い負かせる気がしない。
プイッと顔を背けると、篤樹のクスクス笑う声が聞こえた。
「ま、いいや。食わせてもらえるメシがないなら、こっちを先に頂くから」
意識的に低めた声が耳に届いて、反射的に振り返ろうとした。
なのにそれより一瞬早く、後ろから腕が伸びて来る。
「っ……!」
逃げる間もなく、ギュウッと抱きしめられた。
「『彼に初めての手料理』の定番だよな。肉じゃがって」
「か……」
『彼』
その響きに、またしてもドキッとしてしまう。
そんな私を肩を揺らして笑いながら、篤樹は先週よりはるかに片付いた部屋を見渡した。
チラッと向けられるちょっと意地悪な視線。
『あんなこと言った割に、俺が来るってウキウキしてたんだろ』と言われた気がして、慌てて篤樹から鍋蓋を奪い返した。
「ち、違うもん。今日は私がそんな気分だっただけで」
「へえ?」
「って言うか、篤樹に食べさせる分なんかないしっ!」
「お前の一人分って、量多くね? 食い過ぎじゃねえの?」
腕組みしてニヤニヤと観察されて、私はただ口籠る。
どう考えても免疫不足の私が、この人を言い負かせる気がしない。
プイッと顔を背けると、篤樹のクスクス笑う声が聞こえた。
「ま、いいや。食わせてもらえるメシがないなら、こっちを先に頂くから」
意識的に低めた声が耳に届いて、反射的に振り返ろうとした。
なのにそれより一瞬早く、後ろから腕が伸びて来る。
「っ……!」
逃げる間もなく、ギュウッと抱きしめられた。