俺様黒王子とニセ恋!?契約
「……高校時代、篤樹に憧れてた女子が聞いたら、幻滅しそうだね」


悔し紛れにそう言い捨てると、そうか?と返される。


「澪にとってどんな俺だったか知らないけど。俺はそんなに変わってないよ」

「じゃ、王子様とか言われてたあの頃も、こんなスケコマシだったんだ」

「……何世紀前のけなし方だ、それ」


私にとっては本気の言い合いだったのに、篤樹はブッと吹き出した。
あまりに愉快そうに笑うから、私の不機嫌は限界まで行って折り返して来てしまう。


「……もう」


はは、と短く漏れた笑い声をきっかけに、私も篤樹につられてクスクス笑った。
それを見て、篤樹がフッと目を細める。


「な、何?」


さっきまでの険悪な空気が一転して、なんだか和む中、篤樹の目がとても優しく感じる。


「やっと笑った」

「……え?」


短く低い声にドキッとして、私は無意識に胸に手を当てていた。


「笑わないな~って思ってた。どんな顔して笑うんだろう、って興味持った。で、やっと笑ったとこ見た感想」


篤樹は早口で淡々とまくし立ててから、そこで意味深に言葉を切った。


そして……。
ニヤリと笑う。
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