俺様黒王子とニセ恋!?契約
「……ダメっ!!」
わからないなりに、ここはオフィスだと強い意志が働く。
両手で篤樹の顔を押しのけると、うぐっと篤樹が妙な声を上げた。
それでも、私の渾身の抵抗を感じたのか、篤樹は不貞腐れた表情を浮かべて私から一歩離れた。
「はいはい。……わかりましたよ」
そう言って、クルッと私に背を向けた。
その背中にホッとしながら、やっぱり私はキュンとする。
篤樹は、俯いた私に背を向けたまま。
「……お前さ」
ボソッと小さな声で呟いた。
「え?」
聞き返す私に、一瞬言葉を躊躇するように、篤樹は黙り込んだ。
そして、いや、と短く自身の言葉を打ち消す。
「どっちが本当だ?」
代わりに放った言葉に、どんな意味があったのか。
虚を突かれて黙り込んだのは私の方だ。
その短い沈黙の間に、篤樹は自分の資料を片付けると、ドアに向かって歩いて行った。
「お先に」
チラッと視線を交わしただけで出て行く背中を、私はぼんやりと眺めるしか出来なかった。
わからないなりに、ここはオフィスだと強い意志が働く。
両手で篤樹の顔を押しのけると、うぐっと篤樹が妙な声を上げた。
それでも、私の渾身の抵抗を感じたのか、篤樹は不貞腐れた表情を浮かべて私から一歩離れた。
「はいはい。……わかりましたよ」
そう言って、クルッと私に背を向けた。
その背中にホッとしながら、やっぱり私はキュンとする。
篤樹は、俯いた私に背を向けたまま。
「……お前さ」
ボソッと小さな声で呟いた。
「え?」
聞き返す私に、一瞬言葉を躊躇するように、篤樹は黙り込んだ。
そして、いや、と短く自身の言葉を打ち消す。
「どっちが本当だ?」
代わりに放った言葉に、どんな意味があったのか。
虚を突かれて黙り込んだのは私の方だ。
その短い沈黙の間に、篤樹は自分の資料を片付けると、ドアに向かって歩いて行った。
「お先に」
チラッと視線を交わしただけで出て行く背中を、私はぼんやりと眺めるしか出来なかった。