俺様黒王子とニセ恋!?契約
それほどに、今の篤樹が私に見せる顔が違うのだ。
言動に幻滅するのにキュンとする。
あの頃と大して変わらないと言われても、確かに変わらないようでいて、その実全然違っていたりして……。


結局私は、仕事中の篤樹を思い浮かべた。


「……仕事中は、弓道してた時の雰囲気がある」


躊躇いながらの答えだけど、それが正解だと思った。


凛とした空気。堂々とした佇まい。
自信溢れる物言いと、動じない強さ。


それ以上、なんて言っていいのかわからず無言になった私をジッと観察した後、沙穂はフフッと笑った。


「じゃあ、変わらず誠実な人なんだ」


サラッと言われて、私の方がキョトンとして何度も瞬きをした。


「……え?」


否定の言葉は出ないけれど、沙穂の言い方に疑問は感じる。
そんな私に、沙穂の方が驚いた顔をした。


「なんか間違ってる? 弓道部での篤樹先輩って、『武士』だったから」


親友の言葉は、今の私にとって目から鱗だった。
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