俺様黒王子とニセ恋!?契約
営業企画部と営業部の定例合同会議で、金子さんがプロジェクトの進捗状況を報告した。
最初こそ不安な始まりだったけど、子会社の食品部との合同プロジェクトが発足してからはとても順調だった。


お互いの広報部への報告も先週終えて、これから一ヵ月ほどの間で発売する女性向け月刊誌の広告ページ確保も出来てる。
オフィスビルオーナーの不動産会社担当者への挨拶も済んだ。
二社合同という形になって、結果的に予算の縮小にも繋がり、営業部の収益予測は上方修正だとか。


金子さんの報告を聞いて、部長も課長も満足そうに何度も頷いていた。
いつもと同じように、表情を動かすことなく真面目に聞くだけの私も、上司の反応は嬉しかった。
会議を終えて、心の中にはいつもと違う充足感があった。


会議室からみんながぞろぞろと出て行く。
篤樹も金子さんと言葉を交わしながら、私に背を向けていた。


それを眺めて見送っていた私に。


「あの……四宮さん」


営業部の橋本さんが、おずおずと話しかけて来た。


篤樹を見つめてしまっていたのがバレたのか、と、慌てて気を引き締めて、歩み寄って来る彼女を警戒する。


「プロジェクト、順調みたいで……おめでとうございます」

「あ、ありがとうございます」


ぎこちなく笑みを浮かべて、当たり障りない返事をする。
軽く会釈して、私も外に出ようとした。
そこを、また呼び止められる。


「あの……四宮さんって、片桐さんと親しいんですか?」

「え?」
< 47 / 182 >

この作品をシェア

pagetop