俺様黒王子とニセ恋!?契約
堕ちる覚悟は出来てました
子会社での打ち合わせを終えてオフィスに戻る途中、ちょうどお昼時になったので、金子さんが言い出してランチを取ってから帰ることになった。


イベント会場になるオフィスビルのレストランフロアはサラリーマンやOLで賑わっている。
ガレットが有名なカフェレストランに決まると、篤樹が胸ポケットから携帯を取り出して、ちょっと、と断りを入れた。


「一本電話入れて来ます」


そう言って人気のない静かなスペースを探して離れて行く篤樹を見送って、私と金子さんは先に店内に入った。
両隣はOLグループで、私と金子さんがテーブルに着くと、チラッと視線を感じた。
無意識に首を傾げていると、一度途切らせたらしい会話を再開して、それがこっちにまで聞こえて来る。


「でさあ。なんとなくいい雰囲気になったし、そのままシちゃったんだよね……」

「え~!? 経理の宮部さんと? エリートどころだし、ラッキーじゃん。……どうだった?」

「それがさあ……。もうちょっとどうにかならないかなあ……とか」

「ちょっと、評価辛くない? 良くなかったわけじゃないんでしょ?」


お水を飲みながら、ブホッと吹き出しそうになってしまった。
向かい側に座って頬杖をついている金子さんの耳にも、もちろんちゃんと聞こえていて。


「……女ってえげつないこと話してんのな」


眉をひそめて、ボソッと小声で呟いた。
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