俺様黒王子とニセ恋!?契約
彼を想って号泣しました
待ち合わせたカフェで向き合って、私は深々と頭を下げた。


「突然すみません。お電話でお話させていただきました……四宮澪と言います」

「どうも。静川実(しずかわみのる)です。……まあ、座って」


挨拶を交わした後、テーブルを挟んで向かい合って腰を下ろした。


私の前に座っているのは、高校の弓道部の部長だった静川先輩。
高校時代からの篤樹の親友だ。
私は静川先輩を見知っていて懐かしく思ったけれど、当然ながら彼の方は私を知らない。


「篤樹の転職先での後輩って言ってたっけ?」


軽い口調でそう問われて、私は小さく頷く。
私の反応を確認して、静川先輩は軽くテーブルに身を乗り出した。


「……もしかして……篤樹と付き合ってる、とか?」


探るように畳みかけられて、私は慌てて首を横に振った。


「違います」

「そう? ……でもそうだろうね。篤樹は社内恋愛しないから」


静川先輩は、はっきりと言い切って、店員さんに手を上げて合図した。
オーダーを取りに来た店員さんに、彼が飲み物しか頼まなかったから、私もカフェオレだけオーダーした。


店員さんがテーブルから離れて行くのを見送って、私は膝の上の手をギュッと握り締めた。
そして、おずおずと顔を上げて、静川さんを真正面から見つめた。
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