オレンジライト〜明るい日々へ〜
「舞梨奈ちゃん!!」
利香子さんが心配してハンカチを傷口にあててくれた。
まわりは数人、悲鳴をあげている。
「今、救急車呼ぶから。」
利香子さんが携帯を手にした。
「大丈夫。歩いて病院に行けるから。」
私はそう言った。
「でも…。」
心配しながらも利香子さんは口を閉じた。
痛みに耐える私の顔から何かを感じたのかもしれない。
桜木総合病院救命救急センター。
私は病院に着いて処置してもらっている。
利香子さんは初療室から少し離れた長イスに座っていた。
「ありがとうございました。」
初療室の出入口付近で私は藤沢先生に言った。
「いいえ。」
藤沢先生は笑顔で返す。
「お大事に。」
続けて麻衣さんも言った。
私は笑顔でうなずいて、利香子さんの所へ向かった。
「舞梨奈ちゃん。大丈夫だった…?」
立ち上がった利香子さんは言う。
「傷は少し深いけど、出血は思ったより少ないからあまり心配ないだろうって。」
ゆっくり説明した。
「そう…。良かった。」
少しだけホッとした様子の利香子さん。