オレンジライト〜明るい日々へ〜
第5章~思い~
葛藤と強がり
麻衣さんはスタッフステーションに戻った。
「舞梨奈ちゃんどうだった?」
藤沢先生が聞いた。
「身体の方は大丈夫でした。ただ、舞梨奈ちゃん、手が震えてて聞いても、大丈夫だよって強がってるんです。誰よりも怖い思いをしてるのは、舞梨奈ちゃんのはずなのに。」
麻衣さんが言った。
「高木の言う通りだな。手の震えも気になるし、もう少し様子を見てみよう。」
藤沢先生が言った。
「分かりました。」
麻衣さんがうなずいた。
その夜。
私は深夜を過ぎてもなんだか眠れなくて、病室を少し行ったところにある長イスに座った。
「舞梨奈ちゃん?」
声がし、廊下を見ると水野先生が缶コーヒーを持って歩いてきた。
「水野先生。」
「こんな時間にどうしたの?」
水野先生はそう言って、私の隣に座った。
「眠れなくて。」
「傷が痛むの?」
心配そうに聞く水野先生。