オレンジライト〜明るい日々へ〜
それから1週間何も変わった事はなかった。
そして大学からの帰り道。
涼也と手を繋ぎながら一緒に話していた。
歩いていると黒いジャージを来てフードを被った人がこっちへ向かってくる。
まさかと思ったけど、気にもとめなかった。
すれ違った瞬間、フードを脱いだ男が振り向いてこっちを見て口を開いた。
「覚えてるか?俺のこと。」
聞き覚えのある低い声。
真壁に遭遇してしまった…
ドンッドンッ…
その言葉を聞いた私の心臓の鼓動。
「舞梨奈?」
足を止め繋いだ右手に力が入った私に、涼也は気づいた。
「舞梨奈こっち!」
涼也は私の手をぎゅっと握りしめ、走り出した。
しばらく走って、狭い路地の建物壁の影に隠れた。
「舞梨奈大丈夫か?」
息を切らせた涼也が心配そうに聞く。
「うん。あ、今のうちに警察に連絡しないと。」
そう言って、私は利香子さんに電話をかけて、真壁に遭遇したことを伝えた。