オレンジライト〜明るい日々へ〜
影
翌日。
昨日、犯人への手がかりが見つかり、光が見えたのも束の間。
私に恐る恐るゆっくりと黒い影が近づいていた。
大学で涼也と一緒に昼食を摂った後、次の講義まで時間があった私は、ひとけのない静かな場所へ行った。
心が落ち着く場所なんだ。
そして私に忍び寄る影は私のすぐ後ろにまで近づいた。
何かの気配がする…。
そう思った時にはもう手遅れだった。
背中に何かを突きつけられた。
振り返ろうとする私。
「動くな。大声も出すな。」
低い声だった。
その男は刃物を私の背中に突きつけていたのだ。
私の胸の鼓動は、次第に速くなっていく。
「ゆっくり振り向け。」
その男が言い、私は恐る恐るゆっくりと振り返った。
振り向いた先に見えたのは、刃物を突きつけた男 真壁と一緒にいる佐野さんだった。
「佐野さん!」
「舞梨奈ちゃん!」
お互いに驚く。