オレンジライト〜明るい日々へ〜
その女性の病室。
「さっきはごめんなさいね。」
「いえ。気にしないでください。」
笑顔で言う私。
彼女は相原琴音(あいはら ことね)さん。
生まれつき心臓が悪く、今までは薬で治療していたが最近、さらに悪化し入院することになった。
移植の希望でドナーを探しているが、なかなか見つからないらしい。
ドナーを探すって言っても誰かの死を待つことになるから、それも苦痛だと話していた。
私は台の上に置いてある写真たてが目に入った。
それは笑顔で写る琴音さんと娘さんのような女の子だった。
「娘さん、いらっしゃるんですか?」
「ええ。たった一人の娘よ。」
琴音さんは、娘の千歌(ちか)ちゃんのことを話してくれた。
琴音さんはシングルマザーだから、千歌ちゃんは、児童養護施設《ひまわり園》で預かってもらっているという。
私は今日をきっかけに琴音さんと仲良くなった。