ビターな洋菓子店
ビターな洋菓子店

イチゴタルト



広い歩道の並木道。
その道を少し入った裏路地に、甘いものが好きな人なら足を止めるであろう香りが通行人の鼻をくすぐる。

少しばかり ” 有名 ” な洋菓子店がそこにはある。

その店に足繁く通うのは近所の奥様だけではなく、少し贅沢をしたい学生やカップル、仕事帰りのサラリーマンなど様々だ。

そんな甘い洋菓子店には、香り以外に人を惹きつける ” 魅力 ” がある。



「 いらっしゃいませー 」


店内に入ると予想以上の沢山のスイーツが陳列されていて、そのショーケースに目を奪われる。かと思いきや、

「 あの、これ下さい 」

「 はい 」

「 あ、あとこれと‥‥ 」

「 はい 」

「 あ、あと‥‥あ、もういいです‥‥ 」

甘いスイーツ達が並べられたショーケースの奥には、甘さとは全く関係なさそうなイケメンがいつも通りの無愛想な表情で立っている。

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