ビターな洋菓子店


引かれたかな、と思ったがこんな嵐の中切羽詰まった顔でバースデーケーキを求めるような私に今更驚く事はないだろうと腹を括った私は大嫌いな誕生日について口を開く。


「 誕生日って嫌いなんです。いつも1人で。欲しい物を買って貰っても一緒に遊ぶ相手もいなきゃ話を聞いてくれる人もいない。だけど、何ででしょうね? ケーキだけは毎年用意しないと落ち着かないんです 」

仕事で忙しい両親に迷惑をかけるわけにもいかず、毎年1人きりのバースデーを過ごす。
友達は学校で祝ってくれるけど、家族で過ごす温かい誕生日を知らない私は唯一1人でも特別だと感じることの出来るバースデーケーキを欠かすわけにはいかなかったのだ。

「 別にホールじゃなくてもいいんじゃない? 」

「 でも、誕生日だし‥‥ 」

「 そんなに特別? 」

「 えっ? 」

「 誕生日 」


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