ビターな洋菓子店


「 いいんですか? 私なんかが‥‥ 」

小ぶりなのにボリュームたっぷりの苺タルトは私の視線を奪う。
どうすればこんなに綺麗に沢山の苺を乗せれるんだろうとか、どうしてこんなにもツヤツヤと光ってるんだろうとか。

魅了されるってこういうことなんだと、初めて実感した。

「 どーぞ 」

「 いただきます‥‥ 」

宝石のように輝く苺にフォークを刺す。

初対面の人の横で食べるという緊張も忘れるほど甘くて優しくてけど少し酸味がある苺。
そんな苺が口の中に広がった瞬間、


「 ‥‥っ、お、おいし、‥‥っ 」

「 何泣いてんの 」

「 ‥‥お、おいしくって‥‥ 」


涙がとめどなく流れた。


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