ビターな洋菓子店
「 分かった? 」と濡れた頭をポンっと一度だけ叩いた響さんに不満げに 「 はい‥ 」と返事すると、
「 これだからお子様は。面倒だねー 」
と少しだけ困ったように笑いながら伸びをした。
「 このタルト、いつ発売なんですか? 」
未発売だと言ったタルト。今日から私の ” 特別 ” となったもの。寂しくなった時は買いにこよう、そう思ったのだけれど‥‥‥、
「 あぁ、これね。売るつもりないけど 」
衝撃の一言に私の頭は真っ白になった。
「 どうしてですか!? 」
「 理由はないけど? 」
「 っ、‥試作品とか? なら私が保証しますっ!すっっごく美味しかったので! 」
「 そりゃ美味いっしょ 」