ビターな洋菓子店


「 お待たせいたしました。 ‥‥またお待ちしております‥‥ 」

今にも泣き出しそうな女性にケーキを差し出すと「 ありがとう 」 と小さく笑って足早に店を後にした。

「 あのですね、響さん 」

その後ろ姿を見ている私のほうが胸の奥がキューッと傷む。

「 お説教ならお断り 」

「 別にお説教じゃないですけど‥‥ 」

「 じゃあなに? アドレスぐらい教えろって? 」

ホストになった覚えはないんですけどー、と子どものように茶化す響さんに 「 女性だって勇気を出してるんですから、少しくらい優しく接してあげてください 」と言えば、

「 誰かさんほどしつこーーーい人には流石に敵いませんけどね 」

とため息を吐かれた。


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