ビターな洋菓子店
強情な私以上に響さんは強情だったのだ。
けどここで引き下がるわけにはいかなかった。こうとなれば、意地でもあの ” 特別 ” な苺のタルトをもう一度食べたい。
そして、私は無愛想な響さんの横で ” 特に何もする事ないけど害虫スプレー役 ” として働く事となったのだ。
「 ‥‥‥‥響さんの鬼 」
小さなこのbitterは響さん一人できっと事足りるだろう。アルバイトを募集しているわけでもなさそうだったし、響さんが忙しそうにしている素振りがないこともすっかり ” 常連 ” だった私は知っている。
なのに私を迷う事なく雇った響さんの魂胆はこうだ。
” 女って面倒くせぇ ”
女がいれば少しは女も遠慮する。
ただそれだけ。