ビターな洋菓子店
見れば見るほど綺麗な人で、響さんと会話をしている姿を見るとまるで映画のワンシーンのようだ。
「 じゃあご用意致しますので少々お待ちください 」
「 お願いします 」
そう言って大き目の箱を持って厨房へと向かう響さんに心の中で一人にしないで、と視線を送るも珍しく仕事モードな響さんに伝わるはずもなく気まづい雰囲気の中カウンター越しに女性をチラ見する事しかできない。
ケーキなら箱詰めという仕事があるのだけれど、リクエストであるマドレーヌの箱詰めは数ある私の出来ない業務の内の一つで、お客様の前ということも忘れ肩を落とした。
「 ふふっ 」
「 ‥‥‥? 」
「 噂通り素敵なお店ですね 」
「 あっ、ありがとうございますっ! 」