ビターな洋菓子店


「 ですよねー 」

案の定、何様俺様響様にそんなほろ苦い思い出があるはずもなく、

「 ただでさえ面倒な女が更に色づくなんて恐ろしすぎるだろ 」

あるのはいつもと同じ理由だけだった。


「 そうですけど‥‥でもいつもの事じゃないですか 」

「 お前には一生わかんねーだろうな 」

「 でしょうね 」

「 あの猫撫で声も甘いだけのチョコも死ぬまで見たくないね 」

「 でも掻き入れ時じゃないですか 」

スイーツ達に愛着のない響さんも、やはり経営者。売り上げは気になるのか、働き初めてすぐのクリスマスは普段何もする事のない私でも馬車馬のごとくコキ使われた。

だから、バレンタインデーもここぞとばかりに売りまくるのかと思えば、

「 バツって書いてんだろ。休店だ休店 」

そうじゃないらしい。




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