ビターな洋菓子店
「 そんなものうちにはありません 」
女子高生のお願いに考える姿すら見せず言い切った響さんを見て、この人ブレないなと少し感心してしまう。
「 お願いです‥。 一種類でいいので‥ 」
「 申し訳ありませんが無理です。どうしても無理です。なのでそれ以外の御用がないならお帰りください 」
「 そ、そこをなんとかっ! 」
お願いします、とひたすら懇願する女子高生と 「 無理なものは無理 」 と小学生のような理由をつける響さんを見兼ねた私は、
「 あの‥。 つかぬ事をお伺いいたしますが、” どうしても ” という理由は? 」
この店唯一の優しさをお客様にと手を差し伸べた。