ビターな洋菓子店
のが、地獄の始まりだった。
「 おい。お前は何が出来んだ 」
「 え? えっと、あっ! 味見とか? 」
「 ふざけんな! 」
「 あっ!湯、いや、テンパリングも少しなら‥‥ 」
「 んなもん小学生でも出来んだよ 」
何故かって?
それは閉店後の厨房で響さんにこれでもかというほどお説教をされているからです。
「 だって‥‥嬉しかったんです‥‥ 」
すっかり絞られてしまった私はしょぼんと肩を落としさっきの出来事を思い出す。
そう、女子高生の ” お願い ” は、響さんがこよなく嫌うバレンタインデー商品のリクエストだった。