ビターな洋菓子店
「 初めまして、園田恵です。いつも遙 ( はるか ) に美味しいケーキをいただいてるんです。やっとお会い出来たので嬉しいです 」
めぐちゃんの社会人らしい挨拶に、 「 廃棄のやつなのに〜 」と笑うと後ろからただならぬオーラを感じた。
もちろんそのオーラの持ち主はここbitterの店主、
「 いえ。” 廃棄分 ” で申し訳ないです 」
響さんである。
「 こらっ!遙! 失礼でしょ。あんなに美味しいものを廃棄だなんて 」
「 ごめんなさーい‥‥ 」
「 私じゃなくて響さんにでしょ 」
ほら、こっち。とぐるんとショーケースに向けられた私は響さんの見たこともない営業スマイルにひっ!と小さく声を上げた。