ビターな洋菓子店
「 弟はあんまりケーキが好きじゃないんですけど‥‥やっぱりケーキがないと寂しいし 」
そう言って弟の成長を喜ぶ素敵女子めぐちゃんはふふっと笑う。
けど、どんなに大切な人であれここは響さんの経営するbitter。あくまでも響さんの方針というものがあるので、
「 ‥‥あのっ! めぐちゃん、それは‥‥ 」
” 卒業おめでとう ” のプレートは用意出来ないということを伝えようとすると、
「 かしこまりました。少々お待ちください。ご用意致します 」
いつも通りの単調な声音で、一つだけ残っていたホールケーキを持って厨房へと入っていった。