ビターな洋菓子店


「 いいじゃないですか! 初々しくて 」

傍観しているだけで伝わってくる初々しさに、ガラス越しで見ているこっちにまで初恋のようななんとも言えないむず痒さが起こる。

「 ほー。そんな事とは無縁な奴が偉そうに 」

「 ーーっな!? 」

「 初々しいねぇ 」

と、人を小馬鹿にするように「 いつ熟練者になったんだか 」 と鼻で笑う。その表情にいつになくカチンときた私は、


「 失礼ですね! 私だって恋愛の一つや二つぐらい‥‥ 」


あります!と言おうとした。
が、よく考えてみると ” 恋 ” というものが分からない。



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