ビターな洋菓子店
ショートケーキ
bitterへと向かう並木道の木々が青々としてきた頃、私は悶々としながら店へと足を進める。
あの一件以来少しギクシャクするかと思いきや、意識しているのは自分だけで響さんは何事もなかったかのように相変わらず不機嫌に営業している。
それを横で眺めながら、胸がギューと痛くなる感覚を覚えた今日この頃。おかげさまで足取りが重い。
「 おはようございまーす‥‥ 」
土曜の朝9時。
私が戸を引くと、カランと鳴るドアベルと甘い香り。そして、
「 ここはお化け屋敷か 」
不機嫌なパティシエのいるbitterは本日も変わらず営業中。