ドルチェ セグレート
「それ、どういう意味ですか?」
「そのままの意味。異性の前では可愛こぶって、自分が選ばれなかったら面白くなくて攻撃する。ね? 当たってるでしょ?」
「な、なによ……」
 
優勢なのは、変わらず花音ちゃん。
私はいつも、志穂ちゃんに言われるがままだったから、花音ちゃんの応戦を見て感心してしまう。
 
そして、彼女はさらに志穂ちゃんを追い詰めていく。

「気づいてないと思ってた? さっきまでずっと、外(ここ)から店内(なか)見て、私と遥のこと窺ってたでしょ。羨望と嫉妬が入り混じった視線、すぐわかったけど?」
「なっ……!」
「どうせ、雑誌にでも載った遥に興味持ってきた、ミーハー女子でしょ? そういう子、今まで何人も見てきたんだよねぇ」
 
この子……いったい何者?
 
次から次へと出てくる言葉に、度肝を抜かれ、茫然と立ち尽くす。
 
だけど、今、花音ちゃんが言っていたことってどういうことだろう? 
そもそも志穂ちゃんは、具体的になにを目的で、私に嘘ついてまでここにきたのかな?
 
疑問点を思い出し、頭を捻っていると、志穂ちゃんも必死に花音ちゃんに噛みついていく。

「そ、そういうあなたも、実は同じなんじゃないの?」
「はい。残念でした! 私と遥は、強い絆で繋がってる存在なの。そこに誰も入ることは出来ないわ」
 
待ってましたと言わんばかりに、花音ちゃんは即答する。
その内容に、志穂ちゃん同様、私も目を剥いて遥さんを見た。
 
遥さんは、私たちのように驚くことも、さっきの神宮司さんのように慌てることもせずに、呆れたように長い溜め息をひとつ吐いた。

なにも発さない遥さんに代わって、志穂ちゃんが苦し紛れに吐き捨てる。
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