ドルチェ セグレート
そ、そんなにおかしかったかな? 

最近は、仕事以外に服装に気を遣って出かけることなんかなかったから、美的感覚が全然わかんない! 
ついでに雑貨の流行りはわかっても、ファッションの流行りは全くもってついていけてないし!

志穂ちゃんの刺さる視線に内心そわそわとしつつ、入荷したダンボールの商品をさばいていく。

「やっぱり、なんかありますよね? 珍しく髪も巻いてるみたいですし」

未だに私から離れない志穂ちゃんに触れられてドキリとした。

これもまた、時間に余裕もあるしたまには……と、奥に追いやっていたコテを引っ張り出してみたものの。
あまりに久々すぎたのと、元々うまく使いこなせてなかったことを後で思い出した。

「いや、これは、その……寝癖をごまかそうと苦戦した結果で!」

どうやっても、自然なカールが作れなかった。
そう。それこそ、志穂ちゃんみたいな……。

なんて自分は不器用なんだ。女子力低すぎて悲しい。

チラッと横目で志穂ちゃんの肩下ゆるウェーブを盗み見て、肩を落とす。

結局、初めからやり直すほどの時間もなくて、ごまかすように再度で緩くまとめて来てはみたんだけど。
どうやら、誤魔化しても志穂ちゃんはすぐに気づいたようだ。

「そうだよなぁ。いつもは、寝坊して寝癖ごまかすために髪結んでるようなヤツだもんな」
 
手元に視線を落としたときに、前方から嫌味な言葉が飛んできて顔を上げた。


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