ドルチェ セグレート
さらりとした手触りの包装。透明な袋の中には、綺麗な焼き色のマドレーヌ。
そして、裏面を見ると、下部に小さく【patisserie de rencontre】の文字。
「あ、そうなんですー。昨日の休みに、また行ってきたんですよ」
手の中にある焼き菓子が、ランコントゥルのものだとすぐにわかった私は、驚きのあまり、続く言葉が出てこない。
だって、志穂ちゃんはスイーツ好きじゃないって言ってたのに?
休みの日にわざわざ? なんで?
誰かの贈り物を買いに行ったとかならわかるけど、なんで職場(ここ)にお菓子を置いてるんだろう。
両手でマドレーヌを持ち、穴が開くほど見つめながらぐるぐると考える。
「あ、ちなみにそれは、さすがに何も買わないで出てくることは出来ないので。職場に持ってくれば、誰か彼か食べてくれるかなーって」
手のひらを合わせ、にっこりと微笑みながら説明してくれるのはいいけど、根本的な理由がわからなくて腑に落ちない。
そんな雰囲気を出してしまっていたのか、志穂ちゃんは私の胸の内を悟ったかのように続けた。
「せっかく行ったんですけど、日中だったからか、遥さんにも慎吾さんにも会えませんでしたよ」
志穂ちゃんは、残念そうにして、ジュレのように艶やかに光る唇を尖らせた。
堂々とそういう話を私にするということにも驚かされるけど、それよりも。
「志穂ちゃん、どうして名前知ってるの……?」
「え? だって、初めに行ったときに、それぞれそう呼び合ってたじゃないですかぁ」
大したことでもないように、クスクスと無邪気に笑う。
その要領のよさに呆気に取られ、閉口してしまう。
すると、さらに上をいく志穂ちゃんの言葉に絶句した。
そして、裏面を見ると、下部に小さく【patisserie de rencontre】の文字。
「あ、そうなんですー。昨日の休みに、また行ってきたんですよ」
手の中にある焼き菓子が、ランコントゥルのものだとすぐにわかった私は、驚きのあまり、続く言葉が出てこない。
だって、志穂ちゃんはスイーツ好きじゃないって言ってたのに?
休みの日にわざわざ? なんで?
誰かの贈り物を買いに行ったとかならわかるけど、なんで職場(ここ)にお菓子を置いてるんだろう。
両手でマドレーヌを持ち、穴が開くほど見つめながらぐるぐると考える。
「あ、ちなみにそれは、さすがに何も買わないで出てくることは出来ないので。職場に持ってくれば、誰か彼か食べてくれるかなーって」
手のひらを合わせ、にっこりと微笑みながら説明してくれるのはいいけど、根本的な理由がわからなくて腑に落ちない。
そんな雰囲気を出してしまっていたのか、志穂ちゃんは私の胸の内を悟ったかのように続けた。
「せっかく行ったんですけど、日中だったからか、遥さんにも慎吾さんにも会えませんでしたよ」
志穂ちゃんは、残念そうにして、ジュレのように艶やかに光る唇を尖らせた。
堂々とそういう話を私にするということにも驚かされるけど、それよりも。
「志穂ちゃん、どうして名前知ってるの……?」
「え? だって、初めに行ったときに、それぞれそう呼び合ってたじゃないですかぁ」
大したことでもないように、クスクスと無邪気に笑う。
その要領のよさに呆気に取られ、閉口してしまう。
すると、さらに上をいく志穂ちゃんの言葉に絶句した。