ドルチェ セグレート
パタンと完全にドアが閉まり、志穂ちゃんの姿が無くなってからゴツンと額をテーブルに打つ。
その異様な態勢のまま、悶々とした思考が繰り広げられる。
まさかの展開だ……。
ズーンと重い頭が、まるでテーブルに張り付いたように動かすことが出来ない。
そのくらいの打撃だった。
志穂ちゃんは、あの性格だし、てっきり遥さん派だと思い込んでた。
なのに、神宮司さんの方がいいって、そんなのアリ?
ようやく頭を動かせてもゴロンと横向きにするだけ。
だらしなく机に頬を寄せては、虚ろな目に休憩室の壁を映し出す。
「あ~あ……」
耐えきれずに、ぽつりと口から漏らしてしまう。
こんな流れで認めさせられるとは。
目を閉じて大きく息を吐いたのち、再び目を開く。
そして、今度は顎をつけるようにしながら伸ばした両手でマドレーヌを摘まみ、ジッと見つめた。