ドルチェ セグレート

パタンと完全にドアが閉まり、志穂ちゃんの姿が無くなってからゴツンと額をテーブルに打つ。
その異様な態勢のまま、悶々とした思考が繰り広げられる。
 
まさかの展開だ……。
 
ズーンと重い頭が、まるでテーブルに張り付いたように動かすことが出来ない。
そのくらいの打撃だった。
 
志穂ちゃんは、あの性格だし、てっきり遥さん派だと思い込んでた。
なのに、神宮司さんの方がいいって、そんなのアリ?
 
ようやく頭を動かせてもゴロンと横向きにするだけ。
だらしなく机に頬を寄せては、虚ろな目に休憩室の壁を映し出す。

「あ~あ……」
 
耐えきれずに、ぽつりと口から漏らしてしまう。
 
こんな流れで認めさせられるとは。

目を閉じて大きく息を吐いたのち、再び目を開く。
そして、今度は顎をつけるようにしながら伸ばした両手でマドレーヌを摘まみ、ジッと見つめた。

< 55 / 150 >

この作品をシェア

pagetop