ドルチェ セグレート
今日に限って、まさかの残業。
閉店間際に来店されたお客さんが、なかなか商品を決めきれず……ようやく決めてくれたと思えば、ラッピング希望。
お客さんは大切でありがたい存在だけど、なにも今日に限ってこんなオチにしなくてもいいのに!
久しぶりの全速力。
それでも、間に合わない確率の方が高い。
ギリギリアウトだとわかってる。だけど、ここで諦めるわけにはいかないし!
営業時間に間に合うという地下鉄には乗り遅れ、一本あとのに乗って、全力疾走。
時計をチラチラと確認しながら辿り着くと、ちょうど店員の女の子が表のブラックボードを引き下げるところだった。
「すみませんっ……!」
咄嗟に声を上げ、最後の力を振り絞って駆け寄る。
女の子は、びっくりした顔を私に向けた。
その店員さんは、荒い呼吸でなかなか言葉も紡げない私を、未だに目を丸くして見ている。
つい声を掛けたのはいいけど、『神宮司さんに会いたいんですけど』ってなんだか言いづらい。
「マ、マドレーヌを買いたいんです!」
相手よりも先に言葉を重ねると、彼女は納得したように目を優しく細めた。
「そうでしたか。どうぞ」
閉店時間はすでに過ぎてしまっているのに、少しも迷うことなく私を迎え入れてくれる。
その接客に、見習わなければと感心してしまう。
閉店間際に来店されたお客さんが、なかなか商品を決めきれず……ようやく決めてくれたと思えば、ラッピング希望。
お客さんは大切でありがたい存在だけど、なにも今日に限ってこんなオチにしなくてもいいのに!
久しぶりの全速力。
それでも、間に合わない確率の方が高い。
ギリギリアウトだとわかってる。だけど、ここで諦めるわけにはいかないし!
営業時間に間に合うという地下鉄には乗り遅れ、一本あとのに乗って、全力疾走。
時計をチラチラと確認しながら辿り着くと、ちょうど店員の女の子が表のブラックボードを引き下げるところだった。
「すみませんっ……!」
咄嗟に声を上げ、最後の力を振り絞って駆け寄る。
女の子は、びっくりした顔を私に向けた。
その店員さんは、荒い呼吸でなかなか言葉も紡げない私を、未だに目を丸くして見ている。
つい声を掛けたのはいいけど、『神宮司さんに会いたいんですけど』ってなんだか言いづらい。
「マ、マドレーヌを買いたいんです!」
相手よりも先に言葉を重ねると、彼女は納得したように目を優しく細めた。
「そうでしたか。どうぞ」
閉店時間はすでに過ぎてしまっているのに、少しも迷うことなく私を迎え入れてくれる。
その接客に、見習わなければと感心してしまう。