ドルチェ セグレート
「お。休憩か? せっかく来たのに」
「諏訪さん。……すみません。急用ありましたか?」
「いや、別にないけどさ……」
いつものように予告なしで現れる諏訪さんにも、薄い反応しか返せない。
目を点にして私を見る諏訪さんを、軽く頭を下げて通り過ぎる。
「……なんかあったの? アイツ」
「いえ? お店は暇ですし、話してただけですよー」
諏訪さんの問い掛けと、それに対する志穂ちゃんの返答が背中越しに聞こえた。
そのあとも、なにやら志穂ちゃんが話続けてだけど、今はそれどころじゃなくてその場から立ち去る。
ぼんやりと虚ろな目で、カバンを手にして中央のテーブルにつく。
そのタイミングで、カバンの中の携帯がメールの着信を知らせる音が聞こえた。
深く頭で考えず、無意識に携帯を操作する。
正直、誰からかも大して確認もせずに開いたメール。
その本文を目に映すと、一瞬で意識をそれに集中させた。
【昨日お願いしてた件だけど、近々空いてる日ある?】
それは、まさに今頭を悩ませる人物からのメールだった。
こういうタイミングの連絡は、手放しで喜ぶ心境にはなれなくて、ものすごく複雑な思いになる。
疑心暗鬼になっているから、こういうお願いすらも、私だけに頼んでいるわけじゃないのかもと思ってしまう。
いや、実際そうかもしれない。別に〝私だけ〟と聞いたこともないし、スイーツに対する意見なら、より多くあったほうがいい。
猜疑心でいっぱいになっても、それを実際に聞くことなんかできやしない。
結局、なにも知らないフリをして、普通に返事をするだけだ――。
「諏訪さん。……すみません。急用ありましたか?」
「いや、別にないけどさ……」
いつものように予告なしで現れる諏訪さんにも、薄い反応しか返せない。
目を点にして私を見る諏訪さんを、軽く頭を下げて通り過ぎる。
「……なんかあったの? アイツ」
「いえ? お店は暇ですし、話してただけですよー」
諏訪さんの問い掛けと、それに対する志穂ちゃんの返答が背中越しに聞こえた。
そのあとも、なにやら志穂ちゃんが話続けてだけど、今はそれどころじゃなくてその場から立ち去る。
ぼんやりと虚ろな目で、カバンを手にして中央のテーブルにつく。
そのタイミングで、カバンの中の携帯がメールの着信を知らせる音が聞こえた。
深く頭で考えず、無意識に携帯を操作する。
正直、誰からかも大して確認もせずに開いたメール。
その本文を目に映すと、一瞬で意識をそれに集中させた。
【昨日お願いしてた件だけど、近々空いてる日ある?】
それは、まさに今頭を悩ませる人物からのメールだった。
こういうタイミングの連絡は、手放しで喜ぶ心境にはなれなくて、ものすごく複雑な思いになる。
疑心暗鬼になっているから、こういうお願いすらも、私だけに頼んでいるわけじゃないのかもと思ってしまう。
いや、実際そうかもしれない。別に〝私だけ〟と聞いたこともないし、スイーツに対する意見なら、より多くあったほうがいい。
猜疑心でいっぱいになっても、それを実際に聞くことなんかできやしない。
結局、なにも知らないフリをして、普通に返事をするだけだ――。