【完】冷たい彼との罰ゲーム
「いーのはらくんっ♪」
今日くらい、なにされてもいいやって思い、初めの頃のように話しかけに行った。
相変わらず、机に顔を伏せ眠る。
「おーきーてーよっ」
視線を感じたって、無視無視。
そうだよ……。
私は強いから。
なかなか、起きない……。
はあ……。
ちょっと、トイレ行ってこよ……。
トイレは、人気のない遠いトイレへと行く。
普段のところを使えば、必ずイジメがあるから。
軽くトイレを済ませ、教室に戻ると、
「日夏〜!」
リンが私を呼んだ。
「あっ、リ──」
──ドンッ!
「いった……っ」
リンを呼ぼうとすると、1人の女子がぶつかってきた。
「あら、ごめんなさ〜いっ」
「っ……」
ヒドく睨みつけてくる。
「それにしても、残念ねえ〜? 今日で猪原くんと終わりなんでしょ〜?」
クスクスと笑ってくる。
「ちょっと、アンタ──」
「リン!! 私なんとも、ないから……」
リンが、ぶつかってきた女子に向かって、怒りかけていた。
リンが言っても、巻き込むだけだから……。
その女子は、「ふん」と言って教室から出て行った。
「日夏……」
「今日で、終わっちゃうね」
「あはは……」と笑ってみせる。
最近、この笑い方が増えた。
それと同時に、嘘も増えた。
「……そういえば、猪原くんは?」
話を変えようと、猪原くんの席を見たけれど、いなくなっていた。
「……あぁ、多分保健室じゃない? さっき顔色悪そうだったし」
え、ウソ……。
私ってば、ほんと無責任だ……。
「リンっ……」
「わかってるよ。行ってきな!」
リンは、私が言おうとしてたことを読み取ったかのように、言った。
「うんっ! ありがとう!」
そして、私は保健室へ──。