【完】冷たい彼との罰ゲーム
「………ということで、罰ゲームは
相原と猪原な」
うおおおおおおおっ!!!!
「う、ううううう、ウッソ!!!」
し、信じらんない!
ほんとにこんなことあるんだ……。
「ちょっと、アンタ。捕まるの1番って早すぎよ!! まあ、おかげで猪原と罰ゲームらしいけど」
「えへへ……。私、このチャンス、逃さないから!!」
「はいはい。それにしても、アイツ逃げるの上手いな」
アイツとは、猪原くんのことだろう。
「ずっと、隠れてたもん」
私は知ってる!
「アンタは見すぎなのよ。でも、よくあんな目立つの見つかんなかったわね」
そりゃ、隠れるの上手だもんね!
と、そんな時
「……俺、罰ゲームとかいうの、やんねーから」
上から降ってきた声は、
「い、猪原くん!」
「そういうことだから」
えっ……。
そんな!
「ちょっとまっ──」
「おい、猪原!」
呼び止めようとした声を、リンに遮られた。
「なんだよ」
猪原くんは、振り返ると不機嫌そうにリンを見た。
「アンタ、約束も守れないの? へぇ〜。結局は顔だけ、ってか」
「……チッ。なにお前。ウゼ……」
ヤバイヤバイヤバイ……!
猪原くん、不機嫌マックス!!!
「約束くらい、守りなさいよ!」
リンのその声に、猪原くんは
「………わかったよ」
えっ……。
ええええええっ!!!!
「よかったわね」
リンが小さく私に耳打ちしてきた。
「うわ〜ん……! ありがとう〜!」
泣きながら、リンに抱きついた。
そして、男子が
「よし、決まり。んじゃ期間は2月の13日まで!」
なんで、13日……?
なんて思ってると、私と同じようなことを思ってた子が男子に聞いた。
「だってよ? 14日だとバレンタインになっちまうだろ? それはさすがに好きなヤツいたら可哀想だろ?」
なるほど……。
「いや、でも私は──」
“猪原くんのことが好きだから”と言おうとしたけれど
「さっすが、頭いい〜! やるじゃん」
「私、猪原くんにチョコ渡す!!」
女子は、勢いが凄いなあ……。
私も、チョコ渡したいな。
私だって、負けないもん!!
これから私と猪原くんの単純なゲームで決まった罰ゲーム──……。
いや、私的には最高なご褒美なのだけれど……。