【完】冷たい彼との罰ゲーム
「いーのはらくんっ♪ お弁当食べよ!」
待ち遠しかった、お昼にはお弁当を2つ手に持って、猪原くんのところまで行った。
「ムリ」
そ、即答……。
「おいおい、お前ら罰ゲームなんだから、ちゃんとやれよ。そうじゃないと期限増やすぞー」
後ろから、男子が口ずさむ。
期限増える!?
なにそれ、いい!!!
「あっ、私やっぱり1人で食べるね!!」
わざと、期限を延ばそうと自分の席に戻ろうとすると、
「待て」
──グイッ……
「わっ!!」
猪原くんが、突然私を止めた。
それにしても………
う、うで!!
腕掴まれてる!!!
ドキドキしちゃうよ〜……!
「……おい。行くぞ」
なんて行って、私の腕を引っ張ってく。
ヤバイ……っ!
なにこの展開!!
周りからもたくさん注目されて、散々なことを言われたけれど、そんなこと気にせず猪原くんは私の腕を引っ張る。
「ちょ、猪原くんっ! どこ行くの!?」
お弁当を2つ手に持ったまま、私は腕を引っ張られるばかり。
たくさん階段をのぼり……
──バンッ!
大きな音を立てて開けて来たのは、屋上。
「え、猪原くん!?」
「はあ………。弁当、食うんだろ?」
………ウソ。
「た、食べてくれるの!?」
「……今日だけな。もう二度とこういうことすんなよ。期限延ばされんのとか、ありえねえから」
あっ……。
なんだ。
ここにきたのも、期限延ばされたくないから、か……。
「……おい、弁当貸せよ」
「あっ、うん……。これ」
1つ、量多く作ってきたお弁当を、猪原くんに渡した。
「…………」
食べている間、なにを言われるのかとドキドキしながら黙っていた。
美味しい……かな?
「どう……?かな?」
待ちきれなくて、先に聞いてしまった。
「……ん。美味い、んじゃね?」
なんて、ぎこちなく言う。
う、嬉しすぎる!!
「ありがとうっ!!」
食べ終えた後、「マジで二度とすんなよ」とはまた言われたけど、全部残さず綺麗に食べてくれた。
なによりも、嬉しかった。