綺麗な薔薇には闇がある
「っ!?……危ないっ!!」


彼が私を突き飛ばした


地面に尻もちをつく


「い゛った……っ! 陽優……っ!!」


驚きながら彼を見上げようとすると、宙に赤い液体が飛ぶのが見えた


地面へ落ちたそれは、微かに鉄の臭いがしていて



ゆっくりと陽優を見上げるとそこには……



目を見開き、こちらに倒れてくる陽優の姿があった


慌てて陽優を抱きとめる


「……よ、う……?」


彼の背にはキラリと光る……刃物が刺さっていた


「陽優? ……陽優!!」


彼の名を呼びながら、彼をそっと、うつ伏せに地面に横たわらせる


「しっかりしてよ! 陽優っ!!」
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