綺麗な薔薇には闇がある


「ど...して…………は、…………も私に…………とするの……っ」


───その呟きを残して


彼女はゆっくり立ち上がると、覚束ない足取りで扉へと近付いていき


振り返ること無く、屋上を後にした



「……あの子、最後に何て言ってたの?」


晃が不思議そうに呟く


「分かんねぇ……

でもあいつ、すげぇ悲しそうな顔してたよな」


今までずっと黙っていた飛翔(ヒショウ)が続く


見れば、律と太陽も悩んでいる様子だった



「……〝どうして貴方たちは、

傷付けても私に関わろうとするの〟……か」


俺がそう言うと、四人は一斉に視線を向けてきた


消え入りそうな声だったが


俺にはそう、はっきりと聞き取れた



綺麗な容姿に似つかわしくない


暗い闇を灯した瞳



彼女はいったい


何を抱え込み、苦しんでいるのだろう───




悠優side*end
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