ストーカーは昼夜を問わない
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いつもなら賑やかな食堂は今この時ばかりは静寂な雰囲気に包まれてた。
明らかに場違いな公爵サマと恐れ多くも王太子殿下が子供達が食事をとる時に使っている小さな椅子に腰かけている。
この教会には応接室なんて贅沢なものはないため、急遽いつも掃除がされていて比較的清潔感漂うこの食堂がもてなしの場に選ばれたのだった。
「高貴なお方にお出しできるようなものは、生憎とありませんが...」
お婆ちゃんがお茶請けにとだしたのは、子供達にも人気なベリーマフィンだった。
いいなーという声が柱の陰から聞こえてきた。
「......くす。大きなネズミがいるようだね」
「申し訳ございません。子供達にはよくよく言い聞かせますので」
公爵サマは自分の分のマフィンが入った皿を持つと、席を立った。
なに?どこ行くつもりなの?
その背中を追っていくと、子供達が隠れてこちらを窺(うか)がっている柱に行きついた。
「君達、マフィンは好きかい?」
「.....好き」
子供達の中で一番小さなヨハネがクマのぬいぐるみをキュッと抱きしめながら、小さく恥ずかしそうに呟くようにして答えた。
他の皆は困惑したように、それでもおずおずと頷いて見せた。
「これは本来であれば君達のおやつになるはずだったものなんだろう?君達で食べるといい」
「え!?」
「いいの!?」
「ほんとうに!?」
子供達は信じられないといった風で、目をキラキラと輝かせている。
公爵サマはそれに笑顔で頷いて返した。
一番大きなカインに皿を渡し、こちらに戻ってきた。
「君もほら。お食べ」
公爵サマ。それ、王太子殿下にあげたやつでは?
王太子殿下も何も言わずに黙ってるし。
「ボクはいりません。王太子殿下がいらないなら、これもあの子達にあげてきていいですか?みんなこのマフィンが好きだから」
そう言うと王太子殿下は何も言わず、ただ頷いた。
それを肯定ととり、私は残りのマフィンの皿を持って席を立った。
なんだか大人の大事な話があるみたいだから、私達はあっちにいっておいた方がいいよね?
......って私も本当はそっち側なのに...。
いかん。感覚がマヒしてきおった。