ストーカーは昼夜を問わない

髪をいじって落ち着こうと手を伸ばして、想像よりも早く指が通り終えたことに一瞬戸惑った。


「.......は?」


手が、小さい?

目の前に両手を持ってくると、遠い昔に見ていたような気しかしないほどおぼろげな記憶の小さな両手がある。

もちろん私のだ。それも幼児のといっていいほどの小ささ。


「なに、これ.....」

「あぁ、アナタの身体はもう無くなってしまったので、別の身体に移し替えマシタ!ちなみに子供のものデス☆」

「いや、なに、移し替えた?はい?」


移し替えってそんなにホイホイやっていいもんなの?

それにこの身体の持ち主ってどうなってんの?

てか、そもそも誰なの、コイツ。


「ヒ・ミ・ツ・ですヨ。まぁ、でもその身体の持ち主のことなら心配ありませんヨ?」

「なんで?」

「その身体は大昔のモノですから。とっくの昔に魂は抜け出ています」


大昔のものを今までとっておくなんて...別の意味でアブナイ奴かも。

しかもカタカナ口調、素じゃないみたいだし。


「さぁ、待ってる方達もいることですし、さっさと行きまショウ!」

「わっ!ちょっ!」


私はまだ事態がうまく呑み込めてないんですけどっ!

ピエロ男は容赦なくどこからともなく魔法陣のようなものを出してきて、私をその中へ突き飛ばした。


「では、お姫サマ。いい夢を」


パチンとウインクを投げてくるピエロ。

何か文句を言ってやろうとしたのに無情にも光る魔法陣。


「いつか覚えてなよ!」


ありきたりな捨て台詞になったことに、魔法陣が消え、どこだか分からない場所に放り投げられた時に無性に後悔した。


次に会った時は、あのユルフワだった髪の毛むしり取る!

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