ストーカーは昼夜を問わない

「みんな。今日の午後は王都から偉いお方が見えられます。お利口にできますね?」


突然お婆ちゃんの口からそう告げられてキョトンとする子供達。

そうするとあのガキ大将、カイン少年は二カッと笑った。


「俺達、いつもお利口だもんなー?」


そう言うと、他の子達もそうだそうだと頷いている。

お婆ちゃんは満足そうに笑った。


「では、みんな。神々に感謝してご飯をいただきましょう」

「「はーい!」」


それからは....軽く戦場と化した食堂。

お婆ちゃんは苦笑いで私の横に来た。

それもそうか。

なにせ、お利口だと口にしたカインが一番食堂を戦場にしている。

これでは先ほどの言葉は本当かと問いただしたくもなる。


「おばあちゃん。安心してよ。ボクがきちんと見張ってるから」

「リオは本当に手のかからない子だね。でもね、本当に今回の相手には気をつけるんだよ?」

「どうして?」


お婆ちゃんの顔がにわかに曇りだした。

いつもニコニコとしているお婆ちゃんが.....珍しい。


「今日来られるのはこの村の領主様で、最近代替わりをして新しくご子息が領主となられてね。その時に自分の治める場所を見回るんだけど..」

「その領主様がどうにかしたの?」

「....あぁ、いや。やっぱりなんでもないよ。子供に聞かせる話じゃなかった」

「えー。ボク、気になるなぁ」

「リオの場合は両性具有だからね。珍しがられると思うけど、決して無礼を働いてはいけないよ?まぁ、お前の場合はあまり心配はしてないけどねぇ」

「任せてよ」


そう。この身体は縮んだばかりか、なんと性の区別がない両性具有ってものになっていたらしい。

お風呂にお婆ちゃんと一緒に入った時に発覚した。

なんでも背中に両性具有の者のみ現れるバラの柄の刻印が出ていたそうな。

背中じゃ自分じゃ分からないし、そもそも身体が小さいからツイテルものがなきゃ女の子だと思うのが普通だ。

そもそも両性具有なんて、元いた世界じゃ小説とか漫画の中だけだったしね!

そんなことでまぁ、女の子よりも男の子の方がこれから何かと都合がいいし、面倒も少ないから一人称はボクに改めた。

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